令和6年8月9日、弊法人の元会長・故時田純の三回忌を迎えます。
会長と共に潤生園の草創期を築かれた大切な方々が、奇しくも同年の三月と五月に会長に先立ち、逝かれました。私は変化が訪れていることを感じ、潤生園が新たな歴史の扉を開く時が来たのだと、いまこの時を「第二創業期」と銘打ちました。
「第二創業期」で私たちが目指すのは、再び創立の志を深く内面化しながら、社会の変化に柔軟に対応し、さまざまな福祉の課題に果敢に挑戦して地域に安心を届けることです。
令和4年4月、潤生園では「本来あるべき介護」を改めて目指す、全社をあげての取り組みを開始しました。
特別養護老人ホーム潤生園を創立した昭和52年(1977年)当時、
「高齢になれば、寝たきりとなり、あきらめて暮らすこともやむを得ない」
という社会通念がありました。
しかし、実際に施設での暮らしが始まってみると、
寝たきりだったほとんどの方が起きて生活し、
おむつが外れて自分でトイレに行かれるようになったのです。
適切なケアさえあれば「高齢であっても自立して暮らせる」
この誇り高い実践は、当時としては画期的なことでした。
それから40年以上が経過し、100歳以上の人口が9万人を超える、という
予想もしなかったような超高齢社会がやってきました。
長くなった高齢期が、介護サービスを受けつつ、衰えるのを待つ時間であってはなりません。
車椅子に乗っていらっしゃる方であれば、
ご本人の希望を叶えるためには、身体的な自立を目指すケアを。
お食事全てを柔らかく、という方向だけではなく、
口腔機能を復活させ食べたいものが食べられるケアを。
その方自身が、したいこと、行きたいところ、会いたい人、
自らが望む暮らしを叶えることができる、
そんな日々のケアのあり方を追求しなければならないと考えています。
幸せで豊かで満足な高齢期を生き抜くためのアプローチ、
そのプロセスこそが、これから目指すべき介護の姿です。
私たちはこれを「科学的介護の実践」と呼び、その学びに取り組んでいます。
そこには、介護職員自身のやりがいや幸せもなくてはなりません。
他者への献身こそが幸せである、という運営理念の体現が
職員の幸せな未来と重なっていくことが不可欠です。
また、施設内だけではなく在宅の方を含め、
全てのご高齢者が安心して暮らせる地域を実現するには、
ご利用者を中心に、地域全体の医療・介護・福祉・生活支援に関わる人材が組織を超えて連携し、その自立をサポートする、
本来的な意味での「地域包括ケアシステム」の実現も目指すところです。
3年後の創立50周年にむけ、
これらの取り組みを通して日本一の社会福祉法人を作ることを宣言し、
歩みを進めてまいります。
今後とも、弊法人への末永いご指導・ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。